障害年金とは
障害年金は公的年金
障害年金は国の社会制度の一つである、「公的年金」の一つです。
「年金」と言われると、原則として65歳以上で支給される「老齢年金」を指すと思うかもしれませんが、実は他にもあります。
突然の重度の障害を受けた時に受給できる「障害年金」、家計の担い手がなくなった家族が受給できる「遺族年金」もあり、要件を満たすと受け取ることができます。
公的年金
老齢年金
遺族年金
障害年金
障害基礎年金
障害厚生年金
老齢年金 | 老後(原則65歳以上)の生活資金として支給される年金 |
遺族年金 | 生計を支えていた方が亡くなった際、条件を満たす遺族へ支給される年金 |
障害年金 | 病気やけがによって日常生活や仕事に制限がかかるようになった方へ支給される年金。 基本的に20〜64歳まで受給資格がある。 初診日の加入保険によって、障害厚生年金と障害基礎年金の2種類に分かれる。 |
最初に病気や怪我で病院へ行った時に使っていた保険の種類は?
障害年金を申請を考える時、最初に大事なのは、「最初に病院へ受診した時の使った保険証はなんだったか?」ということです。
保険証にはいくつも種類があるのですが、障害年金を申請する時に関係がある保険証は大きく分けて2種類に分けられます。
社会保険
社会保険の保険証の種類
・組合健保(大企業等、その家族)
・協会けんぽ(中小企業等、その家族)
・共済組合(公務員、私立学校教員等)
国民健康保険
国民健康保険の保険証の種類
・市町村国保(自営業者、非正規雇用者、その家族)
・国保組合(特定の事業や業務に従事する人、その家族)
障害年金は、初診日(最初に体調が悪くなって病院へかかった日)が重要になります。
この時に使った保険証によって、申請できる障害年金の種類と等級が変わるからです。
もし、障害年金を受給できた時の支給金額も変化するので、まえはら社労士事務所では「最初に使った保険証はなんでしたか?」とお聞きしています。
保険証はいくつもあるのですが、障害年金の場合、大きく分けて「社会保険」と「国民健康保険」の2つに分かれます。
大企業や中小企業で正社員として働いていたり、公務員や私立学校で働かれている方、またその家族は社会保険に加入されていた可能性が高いです。
(まれに中小企業で勤めている方が国民健康保険に加入しているケースもあります)
一方で、自営業者やその家族、派遣社員、特定の事業や業務(医師や土建業等)として働かれたりしている方は、国民健康保険に加入されていた可能性が高いです。
障害年金の種類と等級は
初診日に厚生年金保険へ加入中の場合
病院に行った時に使っていた健康保険証が社会保険の保険証だった場合、厚生年金保険が対象になります。
厚生年金保険の等級は1〜3級までです。ご自身の現在の活動状態によって、等級が決まります。
厚生年金保険の等級
1級 | 他人の介助を受けなければ、日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。 |
2級 | 必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。たとえば、家庭内で軽食をつくったり、下着の洗濯などの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方が2級に相当します。 |
3級 | 労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態です。日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方が3級に相当します。 |
障害基礎年金 + 障害厚生年金
重
軽
※各等級部分をクリック(もしくはタップ)すると、詳細が確認できます。
<障害厚生年金>
報酬比例の年金額 × 1.25
+
配偶者の加給年金額(約23万円)
+
<障害基礎年金>
約101万円 + 子加算※
障害厚生年金1級は、「障害厚生年金」と「障害基礎年金」を合わせた額が支給されます
<報酬比例の年金額イメージ>
ボーナスを含めた平均月収×5.481/1000×被保険者期間
(ただし、H15.3以前に被保険者期間がある場合は、その期間分だけ7.125/1000で計算する。)
※配偶者とは、65歳未満でその方に生計を維持されていること。
※子加算とは
子とは、18歳到達年度末までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子。
2人目までは約23万円、3人目以降は約8万円。
初診日に国民年金へ加入中の場合
病院に行った時に使っていた健康保険証が国民健康保険の保険証だった場合、国民年金が対象になります。
国民年金の等級は1〜2級までです。注意したいのは、厚生年金と違い、国民年金には3級がありません。
ご自身の現在の活動状態によって、等級が決まります。
国民年金保険の場合
1級 | 他人の介助を受けなければ、日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。 |
2級 | 必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。たとえば、家庭内で軽食をつくったり、下着の洗濯などの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方が2級に相当します。 |
障害基礎年金
重
軽
※各等級部分をクリック頂くと、詳細がご確認頂けます。
<障害基礎年金>
約101万円 + 子加算※
障害基礎年金1級は、「障害基礎年金」が支給されます
<報酬比例の年金額イメージ>
ボーナスを含めた平均月収×5.481/1000×被保険者期間
(ただし、H15.3以前に被保険者期間がある場合は、その期間分だけ7.125/1000で計算する。)
※配偶者とは、65歳未満でその方に生計を維持されていること。
※子加算とは
子とは、18歳到達年度末までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子。
2人目までは約23万円、3人目以降は約8万円。
納付要件(保険料を納めていたか?)
該当する障害年金を受給するためには、対象期間中に保険料(年金)を納めている必要があります。
保険料の納付要件
障害年金を初診日の前日において、初診日がある月の2か月前までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上 あることが必要です。
〈解説〉
被保険者期間は、20歳から初診日がある月の2か月前まで(令和5年7月)までの15か月です。このうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間は12か月です。上記の図の通り、保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上(10か月以上)あるので、納付要件を満たしています。
・20歳の誕生日を迎えてからスタート
・20歳から初診日の2ヶ月前までの間、2/3の期間が対象
・国民年金の保険料(厚生年金保険や共済組合等も含む)を2/3の期間納めている
・2/3の期間は保険料免除期間も合わせてOK
保険料の納付要件の特例
初診日が令和8年3月末日まで(2026年3月31日まで)にあるときは、次のすべての条件に該当すれば、納付要件を満たすものとされています。
- 初診日において65歳未満であること
- 初診日の前日において、初診日がある月の2か月前までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
〈解説〉 初診日がある月の2か月前までの直近1年間(令和4年8月から令和5年7月まで)に保険料の未納期間がないので納付要件は満たしています。
・初診日の日が65歳未満(つまり64歳まで)
・初診日の2ヶ月前までの間、直近1年間の期間が対象
・対象の直近1年間の期間、国民年金の保険料(厚生年金保険や共済組合等も含む)を納めている
・直近1年間の期間は保険料免除期間も合わせてOK
※ 初診日が平成3年5月1日以前の場合は、納付要件が異なります。年金事務所などにご相談ください。
請求時期
障害認定日による請求
障害認定日に法令に定める障害の状態にあるときは、障害認定日の翌月分から年金を受け取ることができます。このことを「障害認定日による請求」といいます。
〈解説〉
このケースでは、初診日が令和4年3月25日のため、障害認定日は1年6か月を過ぎた日である令和5年9月25日となります。障害認定日の翌月から法令に定める障害の状態に該当したときは、請求日の翌日以降に障害年金を請求することで、令和5年10月分から受け取れます。
事後重症による請求
障害認定日に法令に定める障害の状態に該当しなかった方でも、その後病状が悪化し、法令に定める障害の状態になったときには請求日の翌月分から年金を受け取ることができます。このことを「事後重症による請求」といいます。
〈解説〉 このケースでは、初診日は平成28年10月25日となります。障害認定日には、症状が軽かったので、障害年金には該当しませんでした。しかし、令和5年10月10日から人工透析(2級相当)を開始したため、人工透析開始日以降に障害年金を請求することで事後重症による障害年金を請求日の翌月分(請求日が令和5年10月25日の場合、令和5年11月分からの受け取りとなります。)から受け取れます。
- 請求日が令和5年11月中となった場合は、令和5年12月分からの受け取りになり、請求日が遅くなると受け取りの開始時期が遅くなります。障害年金を受け取ることができる状態になった場合は、速やかにご請求ください。(請求時点で、65歳の誕生日の前々日までに到達する必要があります。)
障害年金の手続き方法
自分が障害年金の受給に該当することがわかったら、障害年金の手続きをすることができます。
・自分で手続きをする
・社会保険労務士に依頼する
上記の2つの方法があるので、それぞれの方法を解説してみました。
自分で手続きをする方法
障害年金の手続きは、自分で書類を集めて申請することができます。
- 年金請求書
- 基礎年金番号通知書や基礎年金番号が分かる書類
- 本人の生年月日が明らかに分かる書類(住民票や戸籍謄本など)
- 医師の診断書
- 受診状況等証明書
- 病歴・就労状況等申立書
- 受取先金融機関の通帳など
障害年金関係の書類は以下の場所に置いてあります。
- 年金事務所
- 街角の年金相談センター
これらの書類を揃えて、記入する書類を記入し、年金事務所や街角年金センター、市町村の役場(障害基礎年金の場合、可能)に届出します。
自分の住んでいる地域の年金事務所、街角の年金相談センターに相談します。
年金事務所、街角の年金相談センターに通って、自分で記入した書類を確認してもらいながら、書類を作成していきます。
【※】一人で年金事務所に相談しながら行うと、だいたい4ヶ月〜1年間くらいかかることが多いです。
並行して、初診日に当たる病院へ行き、医師に診断書の作成を依頼します。
住民票や戸籍謄本、通帳などを用意します。
年金事務所、街角の年金相談センター、市町村の年金窓口に集めた書類を提出します。
障害基礎年金の場合、市町村の年金窓口でも提出可能です。
年金事務所、街角の年金相談センター、市町村の年金窓口に集めた書類を提出します。
障害基礎年金の場合、市町村の年金窓口でも提出可能です。
障害年金の注意点
- 書類の書き方一つで障害の等級が下がったり、支給してもらえなかったりする
- 障害の認定基準が複雑
- 一度申請して出された決定を覆すのは非常に困難
上記の理由により、本来貰えるはずだった障害年金を受給出来ないというケースがたくさんあります。
そのため、多くの申請経験、受給実績を持つ障害年金専門の社労士にご相談されることをお勧めします。
まえはら社労士事務所では上記の注意点に関するアドバイスを行う無料相談を実施しております。
皆様からのご相談を心よりお待ちしております。